鐙(あぶみ)と馬具の話
前にね、どこかの掲示板で「鐙(あぶみ)」の歴史を調べています、と書いたことがありました。
まぁ、その時はちょっと調べていたんですよ、たしかに。でも、あまり資料がないので結局投げ出しちゃったんですよね。
期待させてすみません。(もう時効だよね)
鐙がある時代とない時代の分かれ目はむずかしいんですが、たとえば三国志の時代あたりは微妙だし、秦の始皇帝の時代は間違いなくなかったはず。西の方で言うとハンニバルの時代もカエサルの時代も、鐙はなかったはずなのです。ユリアヌスの頃、つまりコンスタンティヌス大帝のころは怪しいので断言できません。
それがあるかないかで、騎馬兵が鍛えられたプロフェッショナルであるか、馬を持つ財力さえあれば騎士になれる時代かの違いが出るのです。つまり、鐙がないと、乗り回しは非常に難しい、はず。
NHK-BSで映画「キング・アーサー」をやっていたんですが、当然映画ですから(?)鐙を使う。時代考証的には怪しい。(でも、映画「トロイ」では鐙がない鞍に飛び乗っていましたけどね。こういう考証をした映画もあるんだよな) あの時代には、馬と一緒に子供時代を育つような環境でないと、いい騎馬兵になれなかったはずだよな、などと考えてしまう。でもこれはちょっと微妙。
ところで、いま読んでいる図書館の本「古代ローマ軍団大百科」(著者:エイドリアン ゴールズワーシー)に面白い記事がありました。
この本、写真や資料が充実していて良い資料なのですが、何せ高い。13000円の本は、ビンボ人にはつらい。簡単に手に入れられるものじゃないよ。 (ノ_-。)
この本の138Pに、鞍と馬具と題してこんな一節と絵が。
鞍と馬具
古代の戦争に関する古い研究においてしばしば出会うのは、鐙(あぶみ)を知らなかった古代の騎兵は効果的な突撃を行なうことができず、せいぜい一時的に敵車を攪乱する程度のことしかできなかったという見解である。この見解を裏付ける記述はわれわれが手にするどの古代資料にも見あたらないが、その点は不問に付された。というのは、人々は、鐙がなければ騎兵は安定した騎乗ができなかったはずだと信じていたからである。ピーター・コリノーの先駆的研究によりローマ式の鞍が再現され、実際にためしてみた結果、この見解が全くの誤りであることが明らかになったのはごく最近のことである。
4本の角のある鞍はローマ人、またはガリア人、パルティア人、ササーン朝ペルシア人、サルマティア人により ─ ひょっとすると、それ以外の民族によっても採用されたかもしれない。ガリア起源であるとの説が最有力であるが、発明者については不詳である。その他の多くの種類の装備に関してもそうであったように、ローマ人が敵のデザインを模倣したことは十分に考えられる。このタイプの鞍にまたがれば騎手の重みが軽減され、4本の角によって大腿部の鞍はまりも良かった。この鞍の安定感はかなりのものであり、身体が一方に傾いてもすぐに体勢を立て直して投げ槍を飛ばすことも、槍で突き刺すこともできれば、剣を効果的にふるうことも難しくない。
なるほどねぇ。すると今度は、たとえば西部劇映画のインディアンの毛布を敷いただけのような鞍と、きっちりと腰を支える鞍と、鐙があって足を支える鞍と、三つのパターンの区別をつけてみることができそう。
あ~、歴史マニアの道は奥深い... ┐(´-`)┌
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