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2010年3月26日 (金)

「Uボート」雑記

 何を考えたか「Uボート」をだーっと読んでしまいました。
 内容が濃いねぇ、これ。
 普通の戦記小説のようにスリリングな場面が続く訳じゃない。歴史的な背景を説明する訳でもない。ましてよくある仮想戦記のように、愚にもつかない幼稚な政治的・戦略的な俯瞰がなされる訳でもない。
 淡々と、というには濃い、艦内の様子が淡々と。
 松谷健二さんの名訳ですね、これ。
 本編の方もアップしました。  → Uボート(上・下)

 ところで一つ疑問が出ました。

 途中、早朝に天測をする場面があるのです。纏足ぢゃないよ。(*^-^)
 海の真ん中なのだから、正確な南北はわかりません。そのなかで、手元にクロノメータ
(精密な航海用時計)、六分儀、そして図表などの資料があれば、それだけで緯度と経度がわかるらしい。本当に?
 該当場面はここ。文庫版上巻のP107。

 操舵長がのぼってきた。黙ってあたりをながめ、鼻をすすりあげ、下からさし出された六分儀をうけとる。
 「ストップウォッチ、いいか?」 あらい声で下へどなった。
 「いいです!」 下からの声はうんと遠くからのようだ。
 操舵長は土星の方向に六分儀をむけ、右眼をレンズにあてる。そのまましばらく顔をしかめていたが、六分儀をおろしながらネジを調整した。土星を空から水平線におろしたことになる。
 「いいか──土星──ゼロ!」 下にどなった。
 発令所でストップウォッチがかちりと押される。操舵手は薄明の中で角度の数字を読もうとつとめた。「22度35分」 と下へ。
 時間と土星の高さから基線が算出できる。この基線上のどの点からも、同じ角度でその星をのぞめるわけだ。しかし、基線が一本だけでは船の位置はわからない──もう一本要る。
 操舵長はもう一度六分儀をセットした。
 「いいか──木星──ゼロ!」
 やがて──「42度──27分!」
 用心ぶかく操舵長は六分儀を下にわたし、ついでに自分も降りていった。わたしもそのあとを追う。下でかれは上衣をとり、海図テーブルにとりついた。大型汽船の航海士が使えるような大きなものではない。発令所の小さな卓。左舷のスイッチ、伝声管、弁の間にとりつけてあるものでがまんしなくてはならない。その上に、六分儀と望遠鏡をおさめた棚、隣の書架には図表、航海操典、潮位・天位表、帆船操典、発行信号表、天候および月の表。
 操舵長は鉛筆を取って計算した。サイン、コサイン、タンジェント、対数はお手のものだ。
 「よかったな、星を利用するなんて」 ただ沈黙を破ろうとしてわたしはいった。
 「え?」
 「いやね──この技術完璧のボートで、まだ船位を六分儀で決めるってのは驚くべしといおうとしただけ」

 まずわからないのは、ここでストップウォッチをかちりと鳴らす訳。クロノメータで精密な時間を測る意味かと思ったけれど違うかもしれない。
 次は、なぜ土星と木星、二つの高度を測定すれば、「二つの基線」ができて、その場所の緯度と経度がわかるのでしょうか。
 南中、つまりその星が最も高くなった時点で測定するのでもないみたい。そうならば、どうしてこれだけで緯度経度がわかるの? そしてなぜ二本の基線がいるの?
 簡単なことかもしれないのだけど、わからない。しばらく頭の中で謎が続きそうです。

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コメント

 うーむ。
 夜、正確な南北がわからないとき、惑星というか星の高度を測定したとしますね。仮に45度の角度だったとします。
 正確にその時間にその惑星が赤緯15度の位置にあると、星図(かなにか)に書かれているとします。

 測定点が正確にその星の真下であったときのみ、測定点は緯度60度になります。しかし左右どちらかにずれると、緯度がもっと低い点でないと水平線からの高さが45度にならないのです。これは地球上に円弧を描く曲線状になり、その頂点がその星の真下、緯度60度の点です。

 その星が真南にあるとはっきりわかっているときだけ、今緯度は60度であり、経度はいまこの星の赤経の位置だと言えます。
 しかし南北がわからないと、意味がない。
 これだけじゃ、緯度も経度も出ません。
 二つの星を測定しても、同じことです。同じデータが出るだけです。

 北極星を見つけて、そこからの水平の角度を取る事は六分儀では無理です。水平線と星の点を合わせることならともかく、深夜で二つの点を合わせることは、出来るとは思えません。
 しかも、北極星と対象とする惑星の位置は水平ではない。さらに、北極星は正確に天の北極にはないはず。

 いったいなぜ、これでわかるんだろう?
 とすると、例の地球上に投影される曲線が交差する点を求めるしかないのではないか。

 いまのところ、これしか考えられません。うーむ。

投稿: 鐵太郎 | 2010年3月27日 (土) 10:57

 完全文系の頭ですので、こういう話題にはついていけないのですが(じゃ、書くなよ)、同一時刻の2つの惑星の高度を精密に測定できたら、位置は分かるものではないのでしょうか。もし、そうならば、2つの惑星を同時に測定しなければならないのですが、観測者が1人なので、それはできない。そうすると、最初の測定時刻からどれだけの時間を経て次の観測ができたかを計り、補正するという方法が考えられるのですが、その経過時間を計るのにストップ・ウォッチが使われたという可能性はないのでしょうか。
 多分、違っていると思うのですが(じゃ、書くなよ)
 

投稿: hush | 2010年3月27日 (土) 07:48

☆hush猊下 しばらく。
 うーん、球面三角法も絡んでいるとは思うのですが、薄暮(早朝)の空を見て、星座は確認できるのでおおよその南北はわかる程度の中で、特定の二つの惑星の高度を測定するだけで、なぜ緯度と経度がわかるのか。わからないなぁ。
 コンパスでは、経線が確認できるほど正確な南北の測定は不可能ですから、まだ別問題だし。

 白昼の、太陽が南中する瞬間を六分儀で測定できれば、クロノメータさえあれば緯度も経度も測定は出来るでしょうけどね。

 やっぱり、理屈がわからない...(@Д@;

投稿: 鐵太郎 | 2010年3月26日 (金) 23:53

 今、読み返したら基線は3本必要とは書いてありませんね…うーん
 

投稿: hush | 2010年3月26日 (金) 23:24

 お久しぶりです。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%83%E9%9D%A2%E4%B8%89%E8%A7%92%E6%B3%95
 どうも、これを使うようです。
 また、
 http://plaza.rakuten.co.jp/kk0070/diary/200905200000/
 の説明によると、惑星でなくてもよいようですが、基線は3本必要なようですが、ストップ・ウォッチは明らかにおかしいですね。
 

投稿: hush | 2010年3月26日 (金) 23:20

 あ、もしかしてわかったかも。
 「もし」が二つ付くのですが。

 特定の時間に特定の高度にある土星もしくは木星は、緯度と経度をグラフの縦軸と横軸においたとき、ある線上にあるはずです。これらは黄道に近い、しかし同じではない軌道上にあるのですから。
 「もし」そのグラフ上の線が、垂直あるいは水平ではなく、木星と土星それぞれ別な傾きの線だとすれば。
 むろん、この「線」は直線ではないはず。しかし狭い範囲であれば直線と考えていいはず。

 そして「もし」、六分儀により分、つまり1/60度のレベルの測定で、十分にその位置が特定できるのだとしたら。

 この二つの「基線」の交点が、Uボートの緯度と経度という事になる。
 むろん、数分程度の測定時間の差も、考慮して計算しなければならないのですが。
 おそらくこの二本の「基線」は、非常に浅い角度で交差するので、誤差が大きいのではないか、という気がします。

 その上これ、おっそろしく高度な計算を必要としますね。
 簡単な手順で出来るように公式が出来ているのかもしれないけれど、それにしてもかなり精密な測定と計算が必要じゃないかな。

 自分で解答しちゃっていますが、これでいいのかな?

投稿: 鐵太郎 | 2010年3月26日 (金) 19:09

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