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2010年4月28日 (水)

「ケイン号の叛乱」見たよ♪

 「ケイン号の叛乱」が、NHK-BSで放映されました。
 原作は昔に読みましたが、映画はTV版をちらっと見たきり。
 昔の映画だという事もあり、軽い気持ちで見ましたが、なかなかすごいね。
 コロムビア製作映画としては当時の史上最高の興収収益を上げたとか、アカデミー作品賞や主演男優賞を取ったとか、いろいろ言われていますが、
鐵太郎的には珍しく(笑)、その宣伝が伊達ではないと思いましたね。ウン。
 映画の概略はこんなもの。

ケイン号の叛乱  公開: 1954年
監督: エドワード・ドミトリク  Edward Dmytryk
原作: ハーマン・ウォーク  Herman Wouk (novel)
脚本: スタンリー・ロバーツ  Stanley Roberts
   マイケル・ブランクフォート  Michael Blankfort
配役:
ハンフリー・ボガート
Humphrey Bogart
フィリップ・F・クィーグ海軍少佐 U.S.S ケイン 艦長
 Lt Commander Philip Francis Queeg
ホセ・フェラー
José Ferrer
バーニー・グリーンウォルド海軍大尉 法務士官
 Lieutenant Barney Greenwald
ヴァン・ジョンソン
Van Johnson
スティーヴ・マリック海軍大尉 U.S.S ケイン 副長
 Lieutenant Steve Maryk
フレッド・マクマレイ
Fred MacMurray
トム・キーファ海軍大尉 U.S.S ケイン 通信長
 Lieutenant Tom Keefer
ロバート・フランシス
Robert Francis
ウィリー・キース海軍少尉 U.S.S ケイン 通信士
 Ensign Willie Keith
メイ・ウィン
May Wynn
メイ・ウィン(同名) キースの恋人
 May Wynn
トム・タリー
Tom Tully
デヴリース海軍中佐 U.S.S ケイン 前・艦長
 Commander DeVriess
ジェリー・パリス
Jerry Paris
バーニー・ハーディング海軍少尉 U.S.S ケイン 新任士官
 Ensign Barney Harding
リー・マーヴィン
Lee Marvin
“ミートボール” U.S.S ケイン 水兵
 "Meatball"
クロード・エイキンス
Claude Akins
“テリブル” U.S.S ケイン 水兵
 "Horrible"
キャサリン・ウォーレン
Katherine Warren
キース夫人
 Mrs. Keith, Ensign Keith's mother
 狂言回し的な主役は、ケイン号の叛乱ウィリー・キース海軍少尉です。
 彼はプリンストン大学卒のエリートですが、第二次大戦がますます激化していく中で初級士官の不足を補うためにできた制度により、短期士官として海軍に入ります。要は、徴兵逃れですが、合法だし日本でもあった制度であり、優秀な頭脳は兵隊より将校として使おう方が効率的ですな。
 映画の字幕で「兵学校」の成績がどうの
というセリフがありますが、これは間違いです。「兵学校」とは海軍の正規士官を養成する学校で、キースくんは三ヶ月の即席教育を叩き込まれただけのパートタイマー士官です。
 彼が軍隊で実戦を経験し、いろいろ学んでいくという側面が原作にあったのですが、この話は恋人のメイ・ウィンと息子ラブの母親との葛藤などを含め、この映画の中では中途半端に描かれるだけ。細切れの愁嘆場などいっそカットしちまえばいいと思うけど、
女っ気がない映画は当時絶対に認められなかったんでしょうな。

 ネット上でブログやサイトでいろいろ記事が検索できましたね。まぁ、感想については各自それぞれのものがあるので反論はしないのですが、お話の説明でひどいのが多いね。まぁ、これはしかたないか。
 このブログの感想だって、正しい見方だとは言い切れないからね。(*^m^)

 メインはやはり途中から現れるクィーグ艦長。精神障害の名前に「クィーグ症候群」という言葉がある、と原作に書いてあったような気がします。現代でならはっきりした病名が付くし、治療法もあるのでしょう。しかし軍隊ではそうはいかない。
 軍隊はまず上官が正しいと言う原則があり、そのあとに軍の規則がある。
 人間的な良心とか良識とか常識とかは、二の次。
 そんな軍隊は日本だけだ、などと脳天気なことを言うのはいけません。
 「兵は凶器なり」と喝破したのは中国の偉い人ですが、軍隊というものは通常世界とは違うものです。そうしないと人殺しなんてできないもの。
 これはそんな世界でおきた叛乱事件ですね。
 そのへんを踏まえないと、単純に「キ○ガイはこわいね~」、「すごい弁護だったね~」という感想になってしまいますな。

 この映画のキモは、異常な行動を取った艦長と、叛乱事件を裁いた軍法会議です。
 弁護士となったグリーンウォルド海軍大尉士官は、勝てっこない裁判に勝つためにズルをした訳ですが、それを単純に喜んでいる士官たちの場に酔っぱらって乱入し、キーファ大尉に酒をぶっかけます。どんなズルをしたのか知っているから。そしてこの叛乱が起きてしまった真の理由を言いますね。
 このセリフの意味、小説の方では一回読んだだけでは理解できませんでした。

 今回、昔の記憶を踏まえて映画のセリフを聞いて、ようやくこの本と映画がなぜ高い評価を得たのか、理解できました。遅いって?( ̄Д ̄;;

 このページ、アクセスが多いし、他のこの映画に関する書評でも誤解があるようなので、ネタバレかもしれませんがこの軍法会議について追記しておきます。
 この副長は、上官の指揮権を根拠を提示できない理由によって剥奪したのです。これは不法です。もののわかった指揮官であれば、副長を一発ぶん殴って不問にすべきレベルですが、クィーグ艦長はそれができなかった。
 そこで弁護に立った士官はこんなトリックを使ったのです。
 嵐で操艦できない状態になった艦長を精神病と言えるだろうか。
 いや、下級士官にそれを判定する能力はない。
 しかし嵐で艦長は操艦できなかった。軍法会議でも異常な行動を示した。
 艦長が臆病だったから操艦できなくなったのだろうか。
 海軍では、艦長職にある士官が臆病という事はあり得ない。
 仮に臆病な士官が艦長に任命されたとすると、それは海軍省の責任である。
 海軍省は間違うことはあり得ない。
 そして海軍軍人に精神病などあってはならない。
 そうであれば、この叛乱をなかったことにするしか解決の方法はないではないか。

 これが、グリーンウォルド大尉の行ったレトリック、ズルです。この手により、そのままでは叛乱という判決(最高刑は死刑)必至だったケイン号の士官たちを救ったのです。
 そういうズルをして勝たなくてはならなかった腹立たしさ、いざとなると責任逃れをして平然としているキーファ大尉への怒りが、パーティの場面に至るのです。(2010/5/12追記)

 なお原作では、この軍法会議の結果があとで覆されます。
 日本では、軍法会議は絶対に再審されなかったのですが、制度の違いなのかUsshamiltondd141な。

 この映画では、ケイン号はワードルーム(士官室)の場面で出てくるのですが、「U.S.S. CAINE DMS 18 」という艦番号です(ちょうど60分ごろ)。
 
これは掃海駆逐艦の番号です。しかし「DMS-18」は本当はハミルトンというフネの番号。
 このフネは、なんと1919年に駆逐艦(DD-141)として就役した老嬢です。1922年に一度退役した後、1930年に再就役し、1941年に掃海駆逐艦(DMS-18)となり、1945年に雑役艦(AG-111)
となったのだそうな。
 ケイン号の雰囲気に似てますねUss_thompson
 原作はどうだったかなぁ。

 映画の中ではこのフネの役をグリーヴス級駆逐艦トンプソン(DD-627)が勤めています。開戦前に竣工した駆逐艦ですので、1943年頃には古びたと言ってもいいフネですな。でも、老朽艦と言うには、ちょっと新しいかも。

 キース少尉が最後に乗る艦は、連装砲塔などから新鋭のアレン・M・サムナー級駆逐艦のように見えますが、Uss_allen_m_sumner2これは突き止められませんでした。この艦の艦長が最後のびっくりですよね。

 その他、ハルゼー提督の空母とか、艦隊行動とか、戦後ではありますがアメリカ海軍のめいっぱいの協力のおかげで、迫力ある映像が楽しめます。今ならCGだらけになるでしょうが、リアルな映像の組み合わせも迫力ありますな。

 うーむ、原作を読み直してみたくなりました。物置にあるはずですが、見つかるかなぁ。
 あ、それと「ケイン号」とは聖書の「カインとアベル」兄弟の物語と関係があるのではないか、とたしか原作の中で出てきます。どうなのかな。
 ある意味で縁起の悪い名前ですよね、これ。

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コメント

☆P助 様。再訪いただきまして。

うむ、組織はまず成立すると、その組織を守ろうとするもの。
その意味では、共通するところはあるものかな。

いずれにしても、こう言う話は、たいてい何らかの裏があったりするもの。この話にも、なにかあるのかもしれません。

投稿: 鐵太郎@管理人 | 2014年2月26日 (水) 22時29分

平時において
先輩の執拗ないじめを
誰も諌めることなく
自殺に追い込み
組織はなかったことにした

共通点はないかもしれませんが 何故かケイン号の叛乱を思いだしました
軍艦での事件だからでしょうね

ドキュメンタリーの最後に幕僚長が記者会見で答えるのですが
幕僚長は見るからに立派ないでたちで非の打ちどころがない人格者といった風格を持っていました

そういう立派(に見える?)方でも組織を守ろうとするんだなぁと思いました


訪問記念にご挨拶でした^^

投稿: P助 | 2014年2月26日 (水) 07時50分

☆P助 様。どもども。
 こんな場末の(しかも最近更新が滞っている)ブログにようこそ。
 最近なぜかこの記事にアクセスが多いようです。何やら関連があるのかな。

 URL、参照させて頂きました。
 自衛隊の内部での、隠蔽事件のようですね。寡聞にして知りませんでした。嘆かわしい話です、たしかに。

 とはいえ、これは「平時の」「隠蔽された」「所属する組織の不正」に関するものですよね。
 ケイン号の叛乱事件は、「戦時において」「直属上司の異常な行動を」「下級士官が」「任務に堪えないと権限なく断定し」「軍紀に反して解任した」事件です。しかもこの事件は、まったく隠蔽される事なく公開の軍法会議にかけられました。

 共通点がよくわからないのですが...?

投稿: 鐵太郎@管理人 | 2014年2月25日 (火) 19時34分

昨日、NNNドキュメント”自衛隊の闇”不正を暴いた現役自衛官
という番組をみて ケイン号の叛乱を思い出して 検索してきました。
http://www.ntv.co.jp/document/

記者会見で幕僚長が平然としらをきる。
怖いと思いました

投稿: P助 | 2014年2月24日 (月) 13時07分

☆hush猊下 どうも
 ふうむ、別なサイトの情報から「トンプソン」が「ケイン」を演じたように思ったんですが、全部という訳ではないらしいですね。面倒くさがらずよく読まなくては。
 トンプソンのリンクが、間違えていました。正しくはこれ。
   ↓
http://en.wikipedia.org/wiki/USS_Thompson_(DD-627)

 最初はこれ、フレッチャー級のように見えたんですけどね。
 最後の艦については、実は面倒になって投げちゃったんですよ。横着してはいけないな。(*^-^)

 その他ネタについては、ハルゼー提督の空母も、戦後に就役したものを使ったからホントは違うそうですね。これらも長くなりすぎたので、キースの学生時代のネタ共々ばっさりカットしました。
 文章が長すぎると、自分が読んでいても飽きますよね。まして、他人をや。(* ̄ー ̄*)

投稿: 鐵太郎 | 2010年4月28日 (水) 21時59分

尊敬する鐵太郎大元帥閣下
 映画の公開が1954年ですので、この頃には、ケイン(もしくはハミルトン)が所属していたウィックス級駆逐艦改造のドーゼイ級高速掃海艇はすべて除籍されております。したがって、海軍の全面的な協力があっても、存在しないものは使えず、リヴァモアー/ブリストル級級駆逐艦を改造したエリソン級高速掃海艇を使用しております。
 このクラスの2隻は1954年、つまり映画の公開の年に、創生期の海上自衛隊に引渡され、あさかぜ級警備艦として主力を務めたわけですが、アメリカ側では除籍寸前の艦艇でありました。実際、(DMS38)トンプソンはこの年に予備役に編入されております。また、Wikipedia(en.wikipedia.org/wiki/The_Caine_Mutiny_(film))には姉妹艦(DMS34)ドイルも使用されたとありますが、この艦は翌55年に解役されています。
 キースが最後に乗った駆逐艦は、同ページによるとギアリング級の(DD786)リチャード・B・アンダーソンだそうで、空母は(CV33)キャサージだそうです。
 以上、あまり本筋とは関係はありませんが、御参考までに。
 

投稿: hush | 2010年4月28日 (水) 20時54分

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