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2011年2月14日 (月)

「第九軍団のワシ」読んだよ♪

 「Eagle」の原作である「第九軍団のワシ」、図書館で借て読みました。岩波書店の、小6・中学生以上向け本ですね。
 いままで読んだことがありませんでした、これ。
 サイトのポリシーとして、自分が入手した(購入した・譲渡された・取得した)本をネタにするとしています。となると、この本は本サイトに載せるのは違反です。しかし読んだ記録として残しておきたい。
 と言う訳で、こちらに載せます。


第九軍団のワシ 「第九軍団のワシ(The Eagle of the Ninth)」とは、英国の作家ローズマリ・サトクリフ(1920/12/14-1992/7/23)が1954年に発表した歴史小説です。舞台は紀元120年代なかばのブリタンニア属州、すなわちいまのイギリスです。
 イギリス人は、ローマ帝国に支配された過去を生々しく、愛憎半ばする感情で見ているようですね。軍国主義的な大帝国であったローマに征服されたことを隠さず忘れず、その支配に抵抗した現地の人々の記憶もそのまま評価すると共に、文明大国でもあったローマの元でこの地方が飛躍する礎が築かれたことも、高く評価しています。

 そんな背景がどう作用したかはわかりませんが、サトクリフはこの時代の一つの出来事を元に、当時の時代の中で考えられる限りの時代考証を行ってファンタジックな物語を書きました。それがこの本。

 紀元2世紀頃のローマ帝国は、歴史上ほぼ最大の版図を占めていました。五賢帝の一人、皇帝トラヤヌスが死んだAD117年がまさにその年に当たります。
 征服帝ともいうべきトラヤヌス帝の死後、その後継者たるハドリアヌス帝は、英帝の技量に支えられてきた無理な外征をやめ、不安定な征服地を放棄し、内政の安定を図ります。その一環として設けられたのが、ブリテン島北方に、海から海へと建設されたいわゆるハドリアヌス長城。これによってブリテン島は、カレドニアとブリタンニアに分けられ、前者がスコットランドに、後者がイングランドになった訳です。
 さてそのAD117年、イングランド北部のエブラークム(現在のヨーク)で、駐屯していたローマの正規軍の一つ第9軍団が北に進軍した後消息を絶ち、そのまま記録から消えてしまったのだそうな。
 それから約1800年の後の現代、ヨークより300km近く南のシルチェスター(古代ローマのカレバ・アトレバートゥム)の町で、翼のないローマ第9軍団の《ワシ》が発掘されたそうです。aquilam 古代ローマ軍 鷲(アクラ)の旗手 紀元前31年
 《ワシ》とは、原題でEagleとされているもの。ラテン語でAquila。ローマ軍団の象徴です。現代の軍隊で言う軍旗のようなもの。右の絵は現代に作られたフィギュアで、正確なものかは疑問がありますが、まぁこんなかんじ。長い柄の上にあるのが《ワシ》です。
 軍団の象徴であり、この元で戦うことは名誉であり、これが奪われることは軍団兵にとって最大の屈辱とされたもの。
 なせここに《ワシ》があったのか、それは歴史の謎。

 この謎を、サトクリフは、ある若い名誉の負傷で除隊を余儀なくされた元百人隊長マーカス・フラビウス・アクイラ(Marcus Flavius Aquila)を主人公に据えて、解いてみせました。それがこの本。
 マーカスという名前とか、その他の読みを英語読みではなくラテン語読みにして欲しかったとは思うけど、これは無いものねだりかもしれない。まぁいいや。 

 現地人との交流と戦い、マーカスの負傷、ブリタンニアで余生を送る叔父との出会い、奴隷エスカとの友情、隣家の少女コティア。そして《ワシ》。若者たちの未来。
 なるほど、こんな解釈もありか。あのような古代の生活を、こんな生き生きと読みやすい物語に、しかもいまから半世紀も前に仕上げてくれた作家に感謝。
 そしてこの本を翻訳してくれた翻訳者、出版し続けてくれた出版社にも感謝。

 かつて少年時代に、なぜこの本に巡り会えなかったのかを思うと、残念至極です。もっと早く読んでおきたかったなぁ。
 いまの鐵太郎は相当ヒネておりますので、読んで設定的に納得出来ないところを数ヶ所見つけてしまいましたが、それでも全体的にそんなにおかしくはない。決して荒唐無稽にならず、素晴らしい歴史小説に仕上がっているんじゃないでしょうか。
 少年少女たちだけでなく、心が若い歴史マニアみんなに読んでもらいたい本でした。
 続巻があるようです。探してみましょうか。

  (2011/2/13)

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コメント

 そうですそうです、ボウニィがローマのワシを真似たんですよね。だからこの話を読んでいて、やっぱりシャープを思い出しました。あんなイメージですよね。
 ヒトラーも同じように記章にワシを使ったけど、部隊の象徴としての扱いをしていたかな? まぁ、WW2では連隊旗の元に一個連隊が突撃するなんていう戦闘はまず起きなかったから。

 昔の本かあ。
 ぼろぼろになって捨てたものも多いのですが、いまだに残っているものもあります。この本、どうすればいいんだろうと時々考えてしまいますよ。知らない人にとっては、しょせんキロいくらの資源ゴミだもの。

投稿: 鐵太郎 | 2011年2月17日 (木) 19:22

ワシって、この昔からSharpe's Eagleだったんですね~(しみじみ)。
そうでした、そうだったんだわ。いや中学生の時はワシの価値が全然わかってなくて。

私はランサムもサトクリフも、大人向け英国冒険小説を読む前に読んでいますから、後に大人になってから読み返すと「あぁあれがこうなのか」とその価値を初めて知ることが多くて。
週末に昔のみかん箱(本が入っている)ひっくりかえします。もう一度読み直してみます。シャープを読んだ後にこれを読むと、きっと全然違うのではないかと思われます。
ありがとうございました。

投稿: とーこ | 2011年2月17日 (木) 12:57

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